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雨音琴美のライブレポート

17.7.1 聴き歌ヲ10 〜笑顔に会いたい

 
待ちに待った、夏がやってきた。
2017年7月1日、恵比寿天窓 Switchにて記念すべき10回目となる聴き歌ライブが開催された。
利き酒をして味を比べるように、色々なアーティストの歌を“試しに聴いてくれませんか?”というコンセプトから始まったこの企画。今回は昼の開催ということもあり、初めて未就学児の見学にトライした。主宰の浅見からは「お客様には0歳から90歳手前の方まで(実際には92歳のお客様まで)、出演者も10歳から58歳と幅広い年齢」と紹介があり、お子様向きのご案内のために出演者のAreareaが自身の娘を連れて冒頭から登壇した。この日のために会場にはベビーカー置き場と授乳スペースも準備されており、「騒いだり、泣いても気にしなくて良い。泣き声もBGMだから」というRinoの言葉であらゆる年代にたいし配慮のあるライブ空間となっていた。ライブは生き物なんだということを思い出す。子どもも大人もそう、どんなハプニングや化学反応が起こるかは、いつだって蓋を開けてのお楽しみ、それでこそ「Live」なのだから。
そんなことを思い浮かべるうち、会場は暗転し、そっと昼のライブハウスは仄青に包まれた。


 

「♮ナチュラル」ステージ


<photo by せきねふみえ>
 
 
浅見のカウントに合わせて下手から飛び出てきたのは1組目のアーティスト♮ナチュラル。華やかなステージの始まり始まり。1曲目は『怪獣のバラード』、梅雨のじっとりとした地下のライブハウスは一気に真っ赤な太陽のような眩しいライトに照らされた。かずまは怪獣のような手のポーズをとり、かのんの声はエルフのように透き通る。かけるも今日は帽子でシックな印象だが、白い歯をみせて笑うと爽やかな風が駆け抜けるようだ。
曲終わりのMCでは水色と白の衣装をトレードマークに活動していることをアピールし、それぞれに自己紹介をした。「こんにちは!」という挨拶に、観ていた子ども達も元気いっぱいの声を放ち、早速コール&レスポンスのようなかけるの自己紹介。かのんは「新鮮さを忘れずにちょっと大人っぽく」をテーマに掲げ、ペールブルーをまとった姿は夏のお嬢さんといった印象。かずまはリーダーとしての責任を感じさせるしっかりとした声で会話をリードしていった。
2曲目『気球にのってどこまでも』。リズムをとったり見惚れている観客の子ども達に笑顔と共に歌を届ける様子はさながら大規模な音楽教室のようだ。聴衆も自然と手拍子で応えていく。
3人はそれぞれ違った声の質を持ち、個性で魅せながら競い合うようにひとつの歌が紡がれる様子は、必ずしも溶け合ってひとつの個になっているというよりは色とりどりのパレットが置いてあり、だがそれが美しく、またどの色にもこれからどうしていこうかワクワクさせられる高揚感があった。
3曲目『涙はきっと…』。会場の灯りが一粒目の涙と共に落ち、ピアノの上にそっと垂れる。涙の色さえ三者三様に、嬉し涙、感動の熱い涙、後悔の涙など、あらゆる涙に感じ入ることができた。それらを詰め込んだ大きな水たまりの中でオーディエンスも静かに聴き惚れていた。
涙に覆われた梅雨の会場にカラッとしたフィンガースナップの音が!
かけるとかずまのコンビで送る『デイ・ドリーム・ビリーバー』だ。力強いアカペラによってグッとステージに引き込まれ、そのまま曲は『Don't stop me now』へ。ここでかずまが歌い出しから真価を魅せた。圧倒されるボーカル力で聴く者の心を鷲掴みにしてゆく。負けんとかけるも声を張り上げて会場の体温を上げていく。
6曲目からはかれんとじゅんこを呼び込んでミュージカルの世界へ誘う。女子3人での『踊り明かそう』ではマイクを通さずも聞こえる生の声に驚きを隠せない。ミラーボールが点灯され、ひとときのナイトショーの始まりだ。7曲目『ホールニューワールド』では暑く湿った空気が砂漠のロマンスにより一層深みを出しており、メンバーもしっとりとした声で手を取りあうように歩調を合わせて歌い上げた。8曲目『民衆の歌』、今日一番の見せ場にここぞとばかりに5人の民が立ち上がった。赤と緑の激しいライトにミュージカルメドレーもクライマックスを迎える。普段の演者としてプロ意識も伴って、その表情からは気迫すら感じられる。最高の喝采である。
MCでは今日加入の新メンバーかれんとじゅんこが自己紹介をした。かれんはフレッシュな10歳のピンチヒッター、じゅんこは歌とダンスでアシスト、才能豊かなメンバーの加入に皆が喜んでいた。やはり年齢層の分かれる彼らを繋ぐものとしてセットリストでは「学校で歌われる歌」を取り上げているとのことだ。
9曲目は『Believe』。こんなにたくさんの子どもと大人に囲まれて、未来を信じたくもなるだろう、期待したくもなるだろう。その場にいた全員の希望をのせて彼らの声が会場を浸してゆく。
名残惜しくも迎えた最後の曲は『光るなら』。なんとラストソングにきてメンバーが手にしたのは楽器たち。ピアニカやタンバリン、深く響くパーカッションとギター、けれど、何よりも観客のクラップがメインの楽器かもしれない。
5人全員が自然体として存在し、しかしそれが重なって美しいハーモニーを成す♮ナチュラル。今後の活動に期待を宿し、ステージを去っていった。
 
セットリスト 
01 怪獣のバラード(with ハセタク、浅見)
02 気球にのってどこまでも(with 浅見)
03 涙はきっと(with 浅見)
04 デイ・ドリーム・ビリーバー
05 Do'nt stop me now
06 踊りあかそう
07 ホールニューワールド
08 民衆の歌 
09 Believe(with 浅見) 
10 光るなら(with ハセタク、浅見)


 

「かなりやとうばん」ステージ


<photo by せきねふみえ>
 
  
♮ナチュラルとバトンタッチをし、タンバリンの音色と共に羽ばたいてきたのは2番目を飾るかなりやとうばん。1曲目は『とべとべ飛行機』。榊原の今日のスタイルは高く結んだポニーテールに白いブラウス、夏のステージにセイラーの女の子が現れたよう。手旗信号のように赤と白のタンバリンがぱたぱたと音を鳴らし、ジェットの雲がもくもくと生成されていくのを目の当たりにしたような光景だった。
続いて彼らの18番となった『証城寺の狸囃子』。梅雨の湿気を吹き飛ばすようにぽんぽんとリズミカルな曲調。お囃子が似合いの季節、夏の訪れを知らせるように鳴り響く。
『月の沙漠』ではとたんに妖艶なアラブの風が吹き荒んだ。ミラーボールの光の粒が、が硝子片のように会場に散る。ハセタクの背後にはハニーイエローの丸い月の姿が浮かぶ。榊原の手首には金と銀とが揺れて煌めき、時間がただうっとりと過ぎていく。たった3曲の、しかも短い曲達で、ここまで毛色の違う世界を見せられるのがかなりやとうばんの魅力だろう。
サラリと「オリジナルをやります」というMCから始まったのは『折り鶴』。しかしながら今日のそれはいつものかなりやとうばんオリジナル曲の『折り鶴』とはまた違ったかたちで届けられた。波打つダイナミックなピアノが印象的だったイントロはストロークを刻むギターに変わり、Aメロの主旋律もいつもとは異なるニュアンスでふわっと浮かんだ。眠りを覚ますオカリナの調べも新しい。しかしながら鳥というのは彼らの象徴的な存在であると実感が湧いた。
5曲目『春のからっ風』では選曲の段階から童謡唱歌ではなくフォークソングのナンバーを取り入れるという新しい試みをしている。浅見のつまびく弦が花びらを散らし、見えない何かを見据える榊原の視線にドキリとする。
続いての民謡『竹田の子守唄』ではアカペラが色を放ち、そもそも民謡を歌い継いできた過去の人々は皆、楽器も無しに子守りをしながら床やその子どもの肩を叩くなどしてリズムをとり、アカペラで伝え続けてきたということを思い出す。悲哀に顔を歪める榊原の姿は、この曲の背景となった、子どもが同じように小さな子らの子守りを任され、幼いながらに背負わされたという運命の重さを表現している。自身を抱きしめ温めることの難しさを、平成を生きる0歳児からの子ども達の目に訴えかけているのだろう。
続いての『俵はごろごろ』ではフットタンバリンが登場。楽器にはそれぞれ名前をつけており、かなりやとうばんのホームページの“楽器箱”という項目で紹介されているそうなので、是非チェックしてほしい。榊原が白い腕にしなやかにタンバリンをくぐらせ、フットタンバリンを扱う。手品師のような錯誤的な楽器さばきに子どもも大人も目を見張る。
タンバリンの刃が空気を切り裂いた『ずいずいずっころばし』では榊原と浅見が茶壺の行列が通る様をトークを交えて演じてみせ、観客の笑いや関心をひいた。歩くリズムをマーチングバンドのリズムのように表現したサウンド面でも、かなり興味深い仕上がりになっている。
9曲目は観客を交えての輪唱、『森のくまさん』。待っていましたとばかりに声を張る子ども達の熱も乗ってきたところで『アイアイ』を披露。かなりやとうばんの中でも新しいレパートリーであり、また、今日のセットリストの中でも時代の新しいナンバーであるにも関わらず、ここで会場の空気は最高潮。聴き歌はもちろん聴くことも楽しめるのだが、時には一緒に歌ってみることでテイスティングができるのだ。
ライブもクライマックス、彼らが選んだのはオリジナル曲の『ちょっとだけ』。アンデスという小物楽器が入り、面白可笑しいリズムを取るが、まるでそれは小さな悩みの種をも笑い飛ばしてくれるかのよう。人は1日5万個もの事柄を考えるそうだが、1日10回ほど誰かのことを思い出したとしてもたったの0.02パーセント、本当に“ちょっとだけ”なのだ。ちょっとだけ、お試しで、聴きにきたつもりのちょっとだけの人が集まって、そのうちもしかしたら大きくて丸いライブ会場になっているのかもしれない。そんな想いの詰まった作詞とうばんせきねふみえの詞世界やかなりやとうばんのマインドに魅力を感じた人は是非YouTubeにアクセスして聴いてみてほしい。
現在はコンクールに応募するなどして積極的にアプローチを始めているかなりやとうばん。ラストソングは『線路は続くよどこまでも』。彼らの線路もまた果てしなくどこまでも続いているのだろう。
独特の世界観にいつの間にか引き込んでしまうパワーを持ったかなりやとうばんのパフォーマンスは余韻の拍手に包まれて幕を下ろした。
 
セットリスト
01 とべとべ飛行機(with ハセタク)
02 証城寺の狸囃子(with ハセタク)
03 月の沙漠(with ハセタク)
04 折り鶴(with ハセタク)
05 春のからっ風(new)
06 竹田の子守唄
07 俵はごろごろ
08 ずいずいずっころばし
09 森のくまさん
10 アイアイ(with ハセタク)(new)
11 ちょっとだけ(with ハセタク)
12 線路は続くよどこまでも(with ハセタク)  


 

「Arearea」ステージ


<photo by Yoshikuni Syouji>
 
  
休憩を挟んで3組目には子連れで参加のAreareaが登場だ。産休ライブを聴き歌で行ってから数年、ママとしてカムバックした2人を観るのは非常に感慨深い。今日も揃いの赤と緑のビビッドな衣装に身を包んでステージに現れた。
1曲目『君に会えたら』。おおらかなRinoの表情と幸せに浸るようなYUKIの微笑み…。この歌は横浜にある養蜂場の蜂の歌だというエピソードを思い出す。まさに彼女らの歌で命が舞い上がるような空間が生まれていた。
いつも子育てや、幼稚園や学校や、仕事に奮闘する人へ贈る、『クロール』。「頑張りすぎないで」というRinoの言葉どおりのメッセージソングだ。トーキング混じりなボーカルは会場のひとりひとりをあやすように。
さて、今日の裏主役とも言うべき、舞台に出ずっぱりのハセタクに「今日はハセタクアフターヌーン?」とRinoが添え、クラップにより始まった『カワルセカイ』。「キッズ達は眠くなる時間だから…」という彼女達の心配を余所に止まらない手拍子。負けんとYUKIもダイナミックな鍵盤さばきでキッズ達を圧倒してゆく。ソロタイムではハセタクのテクニックもここ一番に詰め込まれ、サウンドの祭典と化した舞台上は熱に満ちていた。
4曲目『マイフレンド』。“どんなに離れていても変わらない”という歌詞の通り、名古屋から夜行バスに乗ってきたハセタク、東京に住んでいるYUKI、そして宮崎から子どもを連れてきたRino、観客はきっと更に色々なところから足を運んでいることだろう。その再会の喜びを分かち合うようにこの歌が祝福した。
続いてのコーナーは会場に足を運んだ子ども達をステージに呼び込んでの童謡メドレー。まずは『大きな栗の木の下で』を10人以上のキッズが盛り上げてくれた。YUKIの仕入れたバージョンとして“大きなヤシの木の下で”“踊りましょう”というフレーズもあり、子ども達が触れる音楽という文化も時代と共に様々変容しているのだということを知る。『かえるのうた』ではRinoが「ゲゲゲ派?ゲロゲロ派?」といった質問を呼びかけるシーンがあった。歌詞の変更はポップミュージックにおいては非常に大きなものに感じ話題性にも繋がるが、オノマトペの違いなども軽いタッチで楽しめるのも童謡の良いところかもしれない。『手をたたきましょう』では大きな振り付けや感情の起伏をつけることによってステージ上にも観客側にも動きがつき、盛り上がりをみせた。子ども達がマイクスタンドに手を添えて支えるという一面もあり、ライブハウスが一体感のあるムードに包まれていく。
そのまま、Areareaはオリジナル曲の『ココロヒトツ』を披露。これに関しては振り付けも無い、歌うパートの指定もない、表現は自由。一生懸命に踊る子、観客を見つめる子、演奏者の顔に微笑む子、一緒に登壇した親と目配せする子…それぞれのココロの躍動が見え、色鮮やかに眩しい瞬間を作り出す。いっぱいの拍手に包まれてキッズ達が見送られ、いよいよこのライブも終盤に近づいていることを知る。
『未来へ』。これこそ、未来を作る子ども達に伝えてゆきたい歌だろう。曲の経緯としては、6年前の出来事がきっかけだ。その後に生まれた子ども達も今日はこの会場に数多くいる。その出来事を目の当たりにした子も、きっといる。深く物事を見つめ、自分の力に何かを感じた大人もいる。その頃には少年少女だったが、立派な大人に変わった人もいる。どんな人にも、等しく、未来は与えられている。母となったAreareaだからこそ、今伝えたくなった“何か”を受け継ぐ機会を、皆が等しく、このフロアの人々は持っているのだ。だからRinoとYUKIは声を張り上げるのだ。一行でも良い、一節のメロディでも良い、会場の光や匂いでも良い、また今日この場所で起きた出来事を、何か残したいと強く想った。
7月1日のこの日に贈る最後のナンバーは『夏の匂い』。これまで子どもに向けたナンバーや、Areareaのいつものナンバー、メッセージソングが続いた中で、この曲が唯一ラブソングだった。Rinoも「この曲はちょっと大人の出番」とはにかんで、目を閉じてそっと夏の記憶によせていた。暑く湿った空気の中を、みずみずしく澄み渡っていく音。この匂いをきっといつか思い出す。
強いメッセージと名残惜しい残り香を置いて、Areareaの2人がステージを後にした。
 
セットリスト
01 君に会えたら
02 クロール
03 カワルセカイ(with ハセタク)
04 マイフレンド(with ハセタク)
05 童謡メドレー(with 子供たち)
06 ココロヒトツ(with 子供たち、ハセタク)
07 未来へ(with ハセタク)
08 夏の匂い




 

「アンコールセッション」


<photo by せきねふみえ>
 
セットリスト
笑顔に会いたい(全員)
  
  
アンコールでは再度ステージに現れたAreareaの2人に呼びこまれ、今日という1日に互いを競い崇めあってきたメンバーが揃い踏み。年齢も住んでいるところも違うそれぞれが10人並び、まさに十人十色の天窓switch。
ラストソングは『笑顔に会いたい』。同じ歌を歌うだけでこんなに笑顔になれるなら、確かにまた会いたいに決まっている。
第10回ということもあり浅見の口からは「これで終わりにしようとおもったんだけどお客さんがたくさん来てくれたから11もやろうかなって」という台詞が零れた。1は始まりの数字、0は無の数字。どちらも持ち合わせた第10回の聴き歌ライブは始まりを重ねる11回目という未来に繋がっていくのだろうか。
演者は常に進み続けなくてはならない。未来がそこにあるからだ。過去を歌い継ぐことで今を未来にしていくのが、歌を歌う者の背負った宿命だ。それは今日のステージのどの場面でも言えることだろう。
だからこそ記録として、形として、テキストとして、残しておくのが私の責務と想い、今回の筆をとった。
読んでくださった方、会場に足を運んでくれた方、遠方から見守ってくれた方、そんな皆さんに何か過去が歌われた今が未来となった証拠としてこの文章を読んでくれたのなら有り難い。
記念すべき10回目のライブをやり遂げた全員に割れんばかり拍手とありったけの祝福を!
 
<written by 雨音琴美>

16.7.23 音倉デ聴き歌ヲ9〜響け、真夏の宵に!〜


<photo by せきねふみえ>
 
セットリスト
・証城寺の狸囃子
・ 夏は来ぬ
・あの町この町
・ 茶摘み
・ 兎のダンス
・ 赤い靴
・ 上を向いて歩こう
・ かごめかごめ
・ 埴生の宿
・ 咲きます
・ 折り鶴
・ どうした太陽
・ お猿のかごや
・ オー・シャンゼリゼ
 
2番手に登場したのはかなりやとうばん。ワールドミュージック的童謡叙情歌を次々と送り出す特異なユニットだ。1曲目『証誠寺の狸囃子』から、タンバリンを壊れそうな勢いで身体中で鳴らし、自分も楽器になったかのように音とひとつになる榊原。浅見も負けんと爪が割れそうなほど6本の弦をかき鳴らす。今日は“新しいのに古い曲”を中心に披露するということ。昔ながらのナンバーがどんなかたちで伝えられるのか楽しみだ。2曲目『夏は来ぬ』。レモン色のシェイカーが夏の訪れと手拍子を会場に連れてくる。夜を渡るオカリナの調べ。これから迎える夏本番がより一層楽しみになるナンバーだ。続いて『あの町この町』を披露。スキャットとピアニカの古めかしさと、黒いリボンで結い上げた榊原の都会的なポニーテールのシルエットが、不思議な時代錯誤を起こしセンチメンタルなテンションにさせられる。浅見に呼ばれてこの後マチルダマーチとして登場予定のリズムとうばんハセタクが入り、お客さんにも「ちゃちゃ」でお馴染みの『茶摘』。見守る聴衆ひとりひとりに美味しいお茶を届けるような笑顔で歌う2人。茶葉を混ぜるような乾いたハイハットの音に、緑の匂いまでしてくるようだ。「煎茶!」「新茶!」という現代チックなコール&レスポンスも、美味しいだけじゃない面白味を出している。『兎のダンス』はタイトルの他、わらべうたの『うさぎ』のフレーズも入り、2つの名曲が代わる代わる跳ねる新しいアレンジだ。雲隠れした今夜の月を思い浮かべる。うっとりとしたハモりが憎い。赤リップにハマっているという榊原が「赤い唇でお届けします」と呟き始まった『赤い靴』。慟哭のようなパンデイロが少女の哀愁を呼び起こす。こうしたクールな大人の曲を歌いあげられるのもかなりやとうばんの一面だ。この一瞬彼らは“オトナとうばん”なのだろう。「お次は恒例のみんなで歌おうコーナー!」と浅見が盛り上げ、七夕の日に亡くなった永六輔氏に捧げる1曲『上を向いて歩こう』を全員で歌った。歌謡曲の域を超えた名曲を歌い継ぐ。まさに唱歌としての姿を実践した時間であった。「新曲なのに江戸時代の歌」とまたまた時代錯誤なトークに始まった『かごめかごめ』。ライトも落ちて、不穏なアルペジオが降りてきた。夏にぴったりなヒンヤリナンバーだ。榊原のコーラスには悲哀めいた呪いすら感じるよう。後追いする浅見の声も忍び寄るようで、後ろを振り返るのが恐ろしくなる。しかしホラーな1曲の後にはきちんと帰るべき温かい家が用意されていた。9曲目は『埴生の宿』。胸に手をあて、心を込めて歌う榊原。音楽こそが彼女にとっては埴生の宿なのかもしれない。そこにそっと住みつくように肩を寄せ、ギターを添える浅見もまた温かい。10曲目は浅見の組んでいるMr.ユニットのカヴァーで『咲きます』に挑戦。木の目のシェイカーを上下に振って、新しい試みに自分を奮い立たせる榊原。“今の私の精一杯で”というフレーズはまさに今の2人の姿そのものだ。ここでかなりやとうばんファンには馴染みの名曲『折り鶴』を披露。ところが今日は少し違った。ピアノで大空を描くようなアレンジとは打って変わり、ギターとピアニカで折られた鶴。羽ばたきと共に刻む弦の音。しかし大空を凛と渡ってゆく澄んだ強い声は変わらない。たくさんの希望を託して、遠い地の人々の心にも届けられることを願う。続く12曲目もオリジナル曲『どうした太陽』。心の中の太陽を燃やしてくれるファイトソング。緩急の付け方がうまい歌い回しで、ごうごうと観客の空気も燃えさかっていく。『お猿のかごや』は“エッサ ホイサッサ”という歌詞に不釣り合いなほどにハードボイルドなキメまでが光るアレンジ。本当に新しいことにトライし続けている末恐ろしい2人組だ。気づけばタンバリンを叩きすぎた榊原の手はサルの顔のように真っ赤になっていた。観客も“エッサ ホイサッサ”のコール&レスポンスに熱く応える。名残惜しいラストソングは『オー・シャンゼリゼ』。こうした海外のスタンダードも2人の手にかかればかなりや色に染まる。2人と一緒に洒落こんで、今日は音倉で赤ワインでも口にしたい気分だ。蒸気する会場に笑顔を浮かべ、かなりやとうばんのステージは幕を閉じた。

14.7.5 音倉デ聴き歌ヲ8 〜星めぐりの宵に〜


<photo by 小林良広>
 
セットリスト
1 ごあいさつ
2 たなばたさま
3 浜辺の歌
4 めだかの学校
5 カントリーロード
6 青空を探して歩いていこう(朗読 せきねふみえ)
8 流れ星になりたいな(朗読 せきねふみえ)
9 星めぐりのうた
10 折り鶴
11 涙はきっと
12 青空を探して歩いていこう
 
ステージに現れた榊原有菜、神山幸也、そして浅見昂生の3人が「こんばんは かなりやとうばんです」と『ごあいさつ』。いよいよ本日のメインステージ、かなりやとうばんの登場だ。夜も更けてきたところで、『たなばたさま』を披露。季節感のある選曲も、彼らの特徴だ。やさしいギターの音色に3人の美しいハーモニーが乗っかる。結成から半年で迎えたメインステージという舞台に、いささか緊張気味の3人を観客はいっぱいの拍手で励ます。榊原もそれに応えるように「皆さんがご存知の曲もありますので、よかったら一緒に口ずさんでくださいね」と笑顔を見せる。続いては『浜辺の歌』なんとも夏らしいナンバーだ。ギターの音が湿気っぽい夏の空気を伝わって深く鳴る。暮れた海がそっと凪いでいくような優しい声色が合わさる。会場は一気にノスタルジックな雰囲気に。おしまいには、ただのハミングがこんなに心地よく響くことがあるんだと、とても贅沢な気持ちにしてくれた。
「世代を越えていくような曲を、たまたま僕ら世代が違うので、越えて、やろうということで。まあ…どう考えても最初に僕が死ぬよな…まだまだ一緒にやってくれるよな?」と浅見。「まだ半年ですから」と神山。ブログで榊原が更新中の名曲紀行など、今後の活動が楽しみな3人だ。早速、その名曲紀行で紹介されている『めだかの学校』を披露。こんなめだかの学校を未だかつて聞いたことがあっただろうか?イントロから浅見のギターがハーモニクスを鳴らし、リットのタイミングもぴったり合わせて浅見と神山が歌いだす。榊原がそこに手話を交えて入ってくる。泳ぎ回るめだかの姿が浮かぶようなやさしく、可愛らしい歌だった。
「甘いものが大好き、かなりやとうばんのリーダー榊原有菜です」「辛いものを食べるとおなかを壊す神山幸也です」「アンチエイジングなものが好きな浅見昂生です」メンバー紹介のあとは『故郷』。日本の唱歌としてなじみ深いスタンダードナンバーだが、彼らにとってもスタンダードとなりつつあるようだ。半年、あるいはそれより以前からの練習で、しっかりとその世界観を確立してきた。誰でも歌えるナンバーだからこそ、オリジナル感を与えるのは難しいのではないだろうか。かなりやとうばんはそれを難なく表現できている数少ないアーティストかもしれない。
明るいギターのストローク、榊原のマラカスと神山のタンバリン、それから会場からの手拍子が合わさって続いてはジブリとジョン・デンバーがミックスの『カントリーロード』。穏やかだった空気が一気にバージニアの暑く湿った空気に様変わりする。3人もここぞとばかりに気持ちよさそうに歌い上げる。ブリッジでは神山のソロが見せ場を作り、ラストまで一気に駆け上がる。この心地よさはさながらロックコンサートのよう!こんなアコースティックがあったのかとただただ驚愕。
かなりやとうばんは歌だけのユニットではない。ここで神山に代わり、作詞とうばんのせきねふみえが登場。「詞の朗読と、榊原さんの手話と、僕のギターで何かできないかと言うことで、練習してきました」と浅見。この3人でお送りするのは『青空を探して歩いていこう』。ショーとしての域に留まらず、対訳が手に取るようにわかることで、本当に見ている方にとっても有益な時間が生まれる。

<photo by 小林良広>
浅見のチューニング中には可愛らしい女子トークが展開。せきねの今日の衣装は黒のシックなワンピース。七夕ということで夜空をイメージしたものとのこと。一方榊原の黄色いカーディガンはかなりやのイメージだろうか。続いて同じ3人で『流れ星になりたいな』を披露。朗読が終わるとせきねと入れ替わり、神山がハミングでそっと戻ってきた。上を見やるその目は、本当に流れ星になりたいと考えているのだろうか。しかしすぐに目線は浅見、榊原、そして観客の方へ…。今日の音倉に集まった人々の数だけの願いをかき集めて、彼らの歌は遠く夜空へ羽ばたくようだった。一声、二声、三声と膨らみ続けていく。
7曲目は本日のサブタイトルにもなっている、宮沢賢治の詞による『星めぐりの歌』。榊原のピアニカがまるでトランペットの音色のように澄み渡り、流れ星に乗った彼らは夜空の旅へ。宇宙の果てを感じるスキャットがたまらない。
今夜の会場でもたくさんの鶴が折られ集まった。「平和は永遠のテーマだと思う」と榊原。オリエンタルなピアノに誘われて始まったナンバーはオリジナル曲『折り鶴』。あるがままの声が美しい歌を成す。レトロモダンとも言うべき秀逸なメロディセンス。平和への願いと底知れぬエネルギーを感じる不思議なパワーを持った楽曲だ。会場も思わず目を見張り、また涙をぬぐう仕草をする人もあった。熱い涙は地に落ちて、続くナンバーは『涙はきっと・・・』。次世代のスタンダードナンバーになるべきオリジナルソングだ。歌いきったときにとても満足げな表情を見せたメンバー達。手ごたえがあったのだろう。そして純粋に、このステージが楽しいのだろう。惜しまれながらのラストソングは『青空を探して歩いていこう』。3人のかけあいが爽快なミドルナンバー。神山の陽気な口笛も入り、会場も楽しそうにクラップを送る。大盛り上がりのメインステージ。かなりやとうばんはつとめを果たすと笑顔でステージを去っていった。
 
Encore

<photo by 田口雅尚>
 
セットリスト
13 リトルスター はだあれ?
14 笑顔に会いたい(Special Session)
 
手拍子に迎えられたかなりやとうばんのアンコール。お送りするのは『リトルスターはだあれ?』。『きらきらぼし』でおなじみのメロディに合わせぴかぴかと星が明滅するようなアカペラを披露。最後の最後で自分達の声色の良さをここぞとばかりにアピールしてくれた。
「それじゃあ、今日の出演者をもう一度呼びたいと思います!」という浅見の声で、今日の出演者が一挙に集まった。そして、前回の聴き歌ライブの直後からダブル産休に入ったAreareaから、飛び入りゲストとしてYUKIが登場!RINOが無事出産したという嬉しいニュースもあり、会場の熱はピークに達する。本日の出演者から一言ずつということで「楽しかったです!どうもありがとうございました!」と榊原。浅見に不思議な青年と呼ばれた神山からは素敵なイベントへのお誘いが。そして朗読のせきねが「楽しんでもらえましたかね?」と聞くと観客が拍手で応えた。林からは「お帰りの際は出る前に僕の短冊を見てください。で、指示に従ってください(笑)」とのこと。パンフレットを見た人にはおわかりいただけたことだろう。初参加の相本からは「今回はアコースティックな、ピアノとギターだけで歌うという非常に緊張したタイプだったんですけれども、まあうまくいったかな?と思っていますので、またよかったら来てください」と満足そうなコメント。最後のナンバーはAreareaのライブではおなじみの『笑顔に会いたい』。かなりやとうばんから林りゅうへいにバトンが渡り、全員で大合唱のサビ。相本久美子&Heartsの楽しげなデュエットから今度は会場も一緒になっての大合唱。その声はきっと空の上で待つ夏の恋人達まで届いたことだろう。どこまでもどこまでも、高く高く、遠く遠く…。
 
<written by 雨音琴美>
<photo by 田口雅尚 小林良広>


公演情報「音倉デ聴き歌ヲ8〜星めぐりの宵に〜」
 


PDF(1.7MB)
 
今回の聴き歌は
今年芸能活動40周年を迎える相本久美子さんが聴き歌に初登場!新曲を披露します。
おなじみのメンバーによるコラボ、セッションも織り込んで華やかにお届けします。
 
かなりやとうばんは、3回目のライブにして初の Main Stage に登場します。
 
七夕の宵を「聴き歌」でごゆっくりお楽しみ下さい。
ご来場お待ちしています。
 
【公演名】「音倉デ聴き歌ヲ8」~星めぐりの宵に~
 
【日程】2014年7月5日(土)
【場所】下北沢 Com.Cafe 音倉
【時間】OPEN 18:15/START 18:45
【料金】前売り 3,000円 / 当日 3,500円(Drink別)
 
【出演】
浅見昂生(Welcome Song)
相本久美子 & Hearts
林りゅうへい
かなりやとうばん(榊原有菜 神山幸也 浅見昂生)
せきねふみえ(朗読)
 
プレゼンター;浅見昂生
 
【主催】nobara records
【制作】ワイルドローズ


2014.03.29音倉デ聴き歌ヲ7~サクラ咲く頃に~

 


 
セットリスト
・どこかで春が
・パフ
・故郷
・流れ星になりたいな(朗読 せきねふみえ)
・涙はきっと…(朗読 せきねふみえ)
・バスルームの人魚姫(榊原有菜 ソロ)
・Dear マーガレット(神山幸也 ソロ)
・折り鶴
歌とうばん:榊原有菜・神山幸也・浅見昂生
 
ギターを手にした浅見が若手の2人、神山幸也と榊原有菜を呼び込む。セカンドステージはこの3人でお届けするかなりやとうばんのライブだ。
「♪こんばんは~かなりやとうばんです」と早速綺麗なアカペラでご挨拶。1曲目は童謡『どこかで春が』。ぴったりと揃った混声三部。
マイクスタンドを寄せ合って、3人の声がひとつの音を成す。週に1度は集まって練習をしているとMCで語っていたが、練習量が見える実力派のユニットだ。
続いてはPPMの名曲『パフ』のカヴァー。手拍子が生まれ、温かい雰囲気が会場に満ちる。日本語パートはそれぞれが歌詞をしっかりと歌い、英語パートに入ると榊原の中音域が秀逸なハーモニーを描き出す。
3つの声ではなく1つの音楽に聞こえるのが素晴らしい。
いっぱいの拍手に包まれ幸せそうな笑顔の3人はメンバー紹介に移る。
「お堅い娘さんタイプ、そして彼が不思議な青年タイプ、それから愉快なおじさんの3人でやってます」という浅見のMCに観客からも笑いがこぼれる。
「はじめて声を合わせて、可能性を見出した曲です」と神山が紹介し始まったのは日本の唱歌で有名な『故郷』。
なじみの深いこの曲、客席には口ずさむ人の姿も。1番はユニゾンで、2番からは神山の高いトーンがそっとハモり、リードをとる榊原も日本語の響きを大切に歌い上げていく。3番は3人で目を合わせながら声を重ねる。
繊細なつくりもののように、美しい歌が完成した。
「ここからは少し僕らのオリジナルを」と浅見が言うと、作詞とうばんのせきねふみえが拍手の中から登場した。
 
せきねのポエトリーリーディングと共にお届けするのは『流れ星になりたいな』。
ギターのメロディに乗って優しいテンポで朗読が始まる。その瞳が、見えない流れ星を捉えたとき、神山の超一級品のソロパートで歌が始まった。浅見の声が慎重に絡まる、その一歩後ろで榊原は手話を披露。
2コーラス目からは榊原の高音も入り、最高のマッチングだ。ふくらみのあるメロディにあわせて声も膨らみ、会場はシャボン玉にくるまれたかのようにまあるい気持ちになる。
再びせきねにスポットがあたり、浅見がピアノの前へ移動。『流れ星になりたいな』の歌詞について語り合った。
「自分が流れ星になれたら、楽しそうじゃないですか?わくわくしませんか?」と目を輝かせるせきね。
想像力豊かな彼女の書いた詞でお送りする次の曲は『涙はきっと』。
ゆるやかなピアノの旋律に、メッセージ性の強い歌詞が刻まれていく。
浅見と榊原の伸びやかな声が広がり、神山のハーモニーがふんわりと重なり、涙も溶けるピュアな美しさに仕上がった。
続いてはソロコーナー。榊原がトレードマークのベレー帽をはずし、「ちょっと切ないラヴソングを届けたいと思います」と紹介しオリジナル曲『バスルームの人魚姫』が披露される。一気に艶っぽさを増す榊原の声色。リヴァーブがバスルームの中を彷彿とさせる。
うっとりと大人の色香を放ち、物語に入り込む榊原。しっとりとした切ない声で会場は一気にムーディーに。新境地を魅せつけた。
続いて榊原に替わり、神山がピアノに呼ばれるように登場。オリジナル曲『Dear マーガレット』を披露。甘く透き通る声は一輪の花をそっと揺らすそよ風のよう。ピアノの音が大きくなる中盤、声も高らかに増していき、“マーガレット”と何度も呼ばれるような歌詞とフェイクに目が離せなくなる。たった1曲で会場をその声の虜にしてしまった。
「早いことに次で最後なんですけど」という榊原の言葉に会場からは今日二度目の「えぇー?!」という名残惜しい声。
榊原が「かなりやとうばんから祈りを込めて」と紹介したのはオリジナル曲『折り鶴』。
イントロが始まっても止まぬ拍手。テーブルの上には、それぞれの想いが込められた折り鶴も並び、ステージを見守っている。
どこまでも、どこまでも飛んでいきそうな声。希望が高らかに羽ばたいていく。
手法を選ばない伝承ユニット、かなりやとうばん。メンバーとしては2回目のステージだったということだがいっぱいの拍手を聞くに、それは大成功に終わったのではないだろうか。
 
<written by 雨音琴美> 


2013.12.14 クリスマスチャリティーコンサート「未来へ」


 
セットリスト
・故郷 (かなりやとうばん)
・流れ星になりたいな (かなりやとうばん)
 
Areareaのふたりがステージを去ると、いよいよかなりやとうばんの出番だ。
ギターを手にすると浅見は「今日が、今からやるのが、初ステージです」「しかも今日、天窓に出演するのは初めて」と語り、隣で息をつく榊原や神山もまた、その緊張感をあらわにした。
きちんと挨拶のメロディを奏でてお辞儀をすると、唱歌『故郷』を披露。ギター1本のシンプルな演奏と、美しい混声三部の中で、歌詞がきらりと光る。誰もが改めてこの曲の歌詞をひとつひとつ受け止め、感じ、噛み締めたことだろう。
まずは1曲を終え、ぐったりとした、あるいはほっとした顔を見せる3人。ここで一言ずつ、かなりやとうばんに込めた想いを語った。神山は「このユニット、気に入っています。」と笑顔を見せた。それに続いて榊原も「私もこのユニット、気に入っています。」「私の音楽の原点は合唱なので、また、声を合わせられるのが嬉しい」と語った。2人にたいして「自画自賛だ」と突っ込んでいた浅見もまた、結局は「このユニット、気に入っています。」と語り、若いうたうたい2人との連携プレーについて、「なんでもやるのがとうばんだ」と誇らしく述べていた。
続くナンバーはそんな彼らのオリジナル曲、『流れ星になりたいな』。1コーラス目は榊原が手話で歌詞を紡ぎ、神山がしっとりと歌声を重ね合わせた。ミラーボールで青いきらめきが散らばり、観客の胸にひとつ、またひとつと流れ星が落ちるよう。2コーラス目ではマイクの前へ戻ってきた榊原が宙までのびる美しいトーンでメロディラインを歌う。そこへ嘘のように繊細な神山のハイトーンでハーモニーが奏でられ、浅見の低音が支えることによって歌が完成した。向かい合わせたマイクスタンド、それぞれの歌声がしっとりと揃い合って、かなりやとうばんのステージが終わった。
 
<written by 雨音琴美>