野口雨情生家・資料館へようこそ

 郷愁と童心の詩人「野口雨情」生家・資料館の公認ウェブサイトです。雨情ニュース、年譜、代表作品、展示品リスト、施設のご案内等を掲載しています。

代表作品の紹介

十五夜お月さん

 十五夜お月さん
 御機嫌さん
 婆やは お暇とりました
 
 十五夜お月さん
 妹は
 田舎へ 貰られて ゆきました
 
 十五夜お月さん 母さんに
 も一度
 わたしは逢ひたいな。
 
 大正九年九月「金の船」作曲 本居長世


 

七つの子

 烏 なぜ啼くの
 烏は山に
 可愛七つの
 子があるからよ
 
 可愛 可愛と
 烏は啼くの
 可愛 可愛と
 啼くんだよ
 
 山の古巣に
 行って見て御覧
 丸い眼をした
 いい子だよ。
 
 大正十年七月「金の船」作曲 本居長世
 
🎵〜「七つの子」by かなりやとうばん


 

赤い靴

 赤い靴 はいてた
 女の子
 異人さんに つれられて
 行つちやつた
 
 横浜の 埠頭から
 船に乗つて
 異人さんに つれられて
 行つちやつた

 
 今では 青い目に
 なつちやつて
 異人さんのお国に
 ゐるんだらう
 
 赤い靴 見るたび
 考へる
 異人さんに逢ふたび
 考える
 
 大正十年十二月「小学女生」作曲 本居長世
 
🎵〜「赤い靴」by かなりやとうばん


 

青い眼の人形

 青い眼をした
 お人形は
 アメリカ生まれの
 セルロイド
 
 日本の港へ
 ついたとき
 一杯涙を
 うかべてた
 
 「わたしは言葉が
 わからない
 迷ひ子になつたら
 なんとせう」
 
 やさしい日本の
 嬢ちやんよ
 仲よく遊んで
 やつとくれ
 
 大正十年十二月「金の船」作曲 本居長世
 
🎵〜「青い眼の人形」by かなりやとうばん


  

シャボン玉

 シヤボン玉 飛んだ
 屋根まで飛んだ

 屋根まで飛んで
 こはれて消えた
 
 シヤボン玉 消えた
 飛ばずに消えた
 
 生れて すぐに
 こはれて消えた
 
 風 風 吹くな
 シヤボン玉飛ばそ
 
 大正十一年一一月「金の船」作曲 中山晋平
 
🎵〜「シャボン玉」by かなりやとうばん


  

雨降りお月さん

 一
 雨降りお月さん
 雲の蔭

 お嫁にゆくとき
 誰とゆく

 ひとりで傘
 さしてゆく
 
 傘ないときゃ
 誰とゆく
 
 シヤラ シヤラ シヤン シヤン
 鈴つけた
 
 お馬にゆられて
 濡れてゆく
 
 二
 
 いそがにやお馬よ
 夜が空ける
 
 手綱の下から
 ちよいと見たりや
 
 お袖でお顔を
 隠してる
 
 お袖は濡れても
 干しや乾く
 
 雨降りお月さん
 雲の蔭
 
 お馬にゆられて
 ぬれてゆく
 
 大正十四年一月「コドモノクニ」作曲 中山晋平


 

 波浮の港

 磯の鵜の鳥ャ 日暮れに帰る
 波浮の港にや 夕焼け小焼け
 明日の日和は
 ヤレ ホンニサ 凪るや
 
 船もせかれりや 出船の仕度
 島の娘達ャ 御神火暮し
 なじよな心で
 ヤレ ホンニサ ゐるのやら
 
 島で暮らすにや とぼしうてならぬ
 伊豆の伊東とは 郵便だより
 下田港とは
 ヤレ ホンニサ 風だより
 
 風はしほかぜ 御神火おろし
 島の娘達ャ 出船のときにや
 船のともづな
 ヤレ ホンニサ 泣いて解く
 
 大正十三年六月「婦人世界」作曲 中山晋平


 

船頭小唄

 一
 
 おれは河原の
 枯れすすき

 同じお前も
 枯れすすき

 どうせ二人は
 この世では

 花の咲かない
 枯れすすき
 
 二
 
 死ぬも生きるも
 ねーお前
 
 水の流れに
 なに変わろ
 
 おれもお前も
 利根川の
 
 船の船頭で
 暮らさうよ
 
 三
 
 枯れた真菰に
 照らしてる
 
 潮来出島の
 お月さん
 
 わたしやこれから
 利根川の
 
 船の船頭で
 暮すのよ
 
 四
 
 なぜに冷たい
 吹く風が
 
 枯れたすすきの
 二人ゆゑ
 
 熱い涙の
 出たときは
 
 汲んでお呉れよ
 お月さん
 
 大正十年三月「新作小唄13」作曲 中山晋平


野口雨情